
SES営業に必須のコミュニケーションスキル7選!
技術知識、営業経験、人脈など、どれも重要です。
しかし、他者との差をつけるカギとなるのは「コミュニケーションスキル」です。
ある大手SES企業の営業マネージャーから興味深いエピソードを聞きました。
ある商談で、技術的な質問攻めに遭い、全てにその場で答えることはできなかったそうです。
しかし、「確認して最適な提案をさせていただきます」と誠実に対応した結果、かえって信頼を得られたとのことです。
この事例が示すように、SES営業において大切なのは、全ての質問に即答することではなく、顧客のニーズを理解し、適切にコミュニケーションを取る能力です。
実際、多くのSES企業が、高いコミュニケーション能力を持つ営業担当者の育成に力を入れています。
優れたコミュニケーターは、顧客との信頼関係を築き、長期的なパートナーシップを形成することができるからです。
では、SES営業に不可欠な具体的なコミュニケーションスキルとは何でしょうか?
本記事では、業界トップの営業担当者たちが実践する7つの重要スキルを、具体例を交えて詳しく解説します。
1. 傾聴力.
SES営業において、傾聴力は非常に重要なコミュニケーションスキルです。
顧客のニーズや課題を正確に理解するためには、相手の話をしっかり聞くことが不可欠です。
1-1. 傾聴力を高めるためのポイント
・相手の話を遮らず、最後まで聞く
・相槌を打ち、相手の話に興味を持っていることを伝える
・メモを取り、重要なポイントを記録する
・相手の言葉を繰り返し、理解を確認する
例えば、顧客が「最近、システムの処理速度が遅くなっているんです」と言った場合、「システムの処理速度が遅くなっているとのことですね。
具体的にどのような場面で遅さを感じていますか?」と確認すると、問題の本質をより深く理解できます。
傾聴力を磨くことで、顧客のニーズに合った適切なソリューションを提案できるようになり、信頼関係の構築にも繋がります。
2. 質問力.
傾聴力と密接に関連するのが質問力です。
適切な質問をすることで、顧客の潜在的なニーズや課題を引き出せます。
2-1. 効果的な質問のテクニック
・オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分ける
・5W1Hを意識した質問を心がける
・相手の発言を掘り下げる質問を行う
・仮説を立てた上で、確認のための質問をする
例えば、ヒアリングの際には、「求めている技術者のスキルセットについて、どのようなイメージをお持ちですか?」とオープンクエスチョンで顧客の理想を引き出します。
具体的にバックエンドエンジニアが必要な場合は、「Java開発の経験は必須条件ですか?」とクローズドクエスチョンでスキルを確認します。
質問力を向上させることで、顧客との対話が深まり、真のニーズを引き出すことが可能になります。
また、質問を通じて顧客が考えを整理するのを助け、問題解決の糸口を見つけやすくなります。
3. 説明力.
SES営業の現場では、技術的な内容を非技術者である顧客にわかりやすく説明する能力が求められます。
複雑な技術や概念を簡潔かつ明確に伝える説明力は、成約率を高める上で非常に重要です。
3-1. 説明力を高めるためのテクニック
・専門用語を避け、平易な言葉で表現する
・具体的な例や比喩を用いて説明する
・図や表を活用し、視覚的に情報を伝える
・段階的に説明し、相手の理解度を確認しながら進める
・相手の知識に合わせて説明の深さを調整する
例えば、クラウドコンピューティングについて説明する際には、「クラウドは、インターネットを通じて必要な時に必要な分だけITリソースを利用できるサービスです。
従来のオンプレミス環境と比べると、自宅にある大きな水槽(サーバー)を持つのではなく、必要な時だけ水道(クラウド)から水(ITリソース)を利用するようなイメージです」と説明できます。
説明力を磨くことで、技術的な内容を顧客に正確に理解してもらい、提案するソリューションの価値を効果的に伝えることができます。
顧客が納得しやすくなることで、成約率の向上にもつながります。
4. 共感力.
顧客との良好な関係を構築し、信頼を得るためには、共感力が欠かせません。
相手の立場に立って考え、感情を理解する能力は、長期的な取引関係を築く上で非常に重要です。
4-1. 共感力を高めるためのポイント
・相手の言葉や表情、態度から感情を読み取る
・自分の経験を踏まえつつ、相手の立場で考える
・相手の感情を言語化して確認する
例えば、クライアントが「先月導入したクラウドシステムのおかげで、在宅勤務の効率が大幅に上がりました。
ただ、セキュリティ面での不安も出てきています。」と話した場合、「クラウドシステムの導入で効率が上がったのは素晴らしいですね。
在宅勤務の生産性向上は大きな成果だと思います。」と共感しつつ、「セキュリティ面の不安は、新しいシステムを導入する際によく直面する課題ですね。
具体的にどのような不安がありますか?また、現在どのようなセキュリティ対策を検討されていますか?」とさらにニーズを聞き出せると良いでしょう。
共感力を磨くことで、顧客との信頼関係を深め、本音ベースの会話を引き出すことができます。
これにより、より適切なソリューションの提案や、長期的な取引関係の構築が可能になります。
5. プレゼンテーション力.
SES営業において、自社のサービスや提案内容を効果的に伝えるためのプレゼンテーション力は非常に重要です。
限られた時間の中で、顧客の興味を引き、理解を促すためには、高度なプレゼンテーションスキルが求められます。
5-1. プレゼンテーション力を高めるためのテクニック
・明確な構成を心がけ、ストーリー性のある内容にする
・視覚資料(スライド、パンフレットなど)を効果的に活用する
・適切な声の大きさ、スピード、抑揚で話す
・自信を持った態度で臨む
例えば、新しいシステム開発の提案をする際には、「まず、御社の現状と課題について整理します。
次に、それらの課題を解決するための我々の提案内容を説明し、最後に導入後のメリットと具体的な導入スケジュールについてお話しします」といった具合に、プレゼンテーションの流れを明確に示すことが効果的です。
プレゼンテーション力を磨くことで、自社のサービスや提案内容の価値を顧客に効果的に伝え、成約率を高めることができます。
また、印象に残るプレゼンテーションを行うことで、競合他社との差別化を図ることも可能です。
6. 交渉力.
SES営業にとって、条件交渉は避けて通れない重要な局面です。
Win-Winの関係を構築しながら、自社にとっても有利な条件を引き出す交渉力は、ビジネスの成功に直結する重要なスキルです。
6-1. 交渉力を高めるためのポイント
・事前に十分な情報収集と分析を行う
・相手のニーズと自社の強みを明確に把握する
・両者にメリットがある提案を行う
・選択肢を複数用意し、交渉の幅を広げる
例えば、契約期間について交渉する際、「3年間の長期契約をお願いしたいのですが、その代わりに初年度の料金を10%割引させていただきます。
長期契約によって、御社には安定したサービスの提供と、コストメリットが生まれます。
一方で、我々も長期的な計画を立てやすくなります」といった提案ができます。
交渉力を磨くことで、顧客との良好な関係を維持しつつ、自社にとっても有利な条件を引き出すことが可能になります。
また、困難な交渉を乗り越えることで、顧客との信頼関係をより深めることができます。
7. 柔軟性と適応力.
SES営業の現場では、顧客のニーズや市場の動向が常に変化しています。
そのため、柔軟に対応し、迅速に適応する能力は非常に重要です。
柔軟性と適応力は、予期せぬ状況や新しい要求に対して効果的に対処し、顧客満足度を高めるのに役立ちます。
7-1. 柔軟性と適応力を高めるためのポイント
・常に最新の技術トレンドや業界動向をキャッチアップする
・顧客のビジネス環境の変化に敏感になる
・失敗を恐れず、新しいアプローチを試みる勇気を持つ
・フィードバックを積極的に受け入れ、迅速に改善する
・異なる文化や働き方に柔軟に対応する
例えば、ある顧客企業が急遽リモートワークを全面的に導入することになり、当初のオンプレミスシステムの提案では対応できなくなったとします。
このような状況下では、「御社の新しい働き方に合わせて、クラウドベースのソリューションを提案させていただきます。
これにより、場所を問わず業務が遂行でき、さらにコスト削減も実現できます」といった柔軟な対応ができます。
柔軟性と適応力を磨くことで、変化の激しいIT業界において常に最適なソリューションを提供し続けることができます。
また、予期せぬ状況下でも冷静に対応することで、顧客からの信頼を得ることができ、長期的なビジネス関係の構築に繋がります。
8. さいごに.
SES営業に必須の7つのコミュニケーションスキルについて詳しく解説しました。
これらのスキルは、一朝一夕に身につくものではありませんが、日々の営業活動の中で意識的に実践し、継続的に改善していくことで、確実にスキルアップを図ることができます。
SES営業の成功は、技術者と顧客企業の双方にとって最適なマッチングを実現することにあります。
そのためには、技術的な知識はもちろんのこと、高度なコミュニケーションスキルが不可欠です。
本記事で紹介した7つのスキルを意識的に磨き、実践することで、SES営業としての価値を高め、キャリアアップにつなげていくことができるでしょう。