
SESと派遣の違いは?SESやめとけはウソ?メリットとデメリットを解説
さらに、ネットで囁かれる「SESやめとけ」という理由についても掘り下げます。
1. SESとは?準委任契約をわかりやすく解説.

SES(System Engineering Service)とは、IT技術者を企業に派遣し、システムの開発・保守・運用の支援を行うサービスのことを指します。
このSESは「準委任契約」の内容に準ずることが特徴です。
「準委任契約」とは、大きく「履行割合型」と「成果完成型」の2種類が存在します。
履行割合型は、作業の進捗に応じて報酬が支払われる形態で、成果完成型は、特定の成果物が完成した際に報酬が支払われる形態です。
これにより、SESは顧客のニーズに応じた技術力を提供し、顧客のリソースや知識だけでは解決できないシステム開発のサポートを行うことができます。
2. SESの仕事内容と役割.
その主な役割は、クライアントのビジネスニーズや要求に応じて、最適なシステムを構築・提供することです。
具体的には、初期の要件定義や設計フェーズから、実際のプログラミング、テスト、そしてシステムの導入・運用に至るまでの一連の工程をサポートします。
また、プロジェクト進行中に発生する技術的な問題や課題に対して、迅速かつ的確に解決策を提案し、実行することも重要な役割です。
3. SESと派遣の違いとは?.
SESと派遣の違いはどちらも企業が特定の業務を外部の専門家に依頼する形態ですが、その契約内容や業務の進め方に大きな違いがあります。
SESは「準委任契約」と呼ばれる形態で、クライアント企業から作業の進め方や方法について具体的な指示を受けることは基本的にありません。
また、残業や休日出勤の指示もされることはなく、業務の成果を提供することが求められます。
一方、派遣は「労働者派遣契約」に基づき、派遣先の企業の指示や監督のもとで業務を行います。
このため、具体的な作業内容や方法、業務の進め方など、日常的な業務に関する指示を受けることが一般的です。
このように、SESと派遣は、業務の進め方や契約の性質において大きく異なるため、自身のキャリアや働き方を選択する際に、これらの違いを理解しておくことが重要です。
4. 「SESやめとけ」といわれる理由.
まず、SESの商流が深い場合、エンジニアの待遇が低くなる傾向があります。
商流が深いとは、エンドユーザーとエンジニアの間に多くの中間業者が存在することを指します。
これにより、各業者のマージンが積み重なり、最終的にエンジニアの手取りが低くなることが多いのです。
また、SESの案件においては、長時間労働が常態化している場合があります。
プロジェクトの締め切りや要求仕様の変更など、様々な要因によりエンジニアは過酷な労働を強いられることが少なくありません。
このような理由から、「SESやめとけ」という意見が出ることがあります。
しかし、全てのSESが悪いわけではありません。後悔しないためには、案件をしっかりと見極め、自身のキャリアや働き方に合った選択をすることが重要です。
5. SESエンジニアのメリットとデメリット.
SESエンジニアとしてのキャリアは、他の働き方と比較してどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
ここでは、SESエンジニアとしての魅力や懸念点をバランスよく紹介します。
エンジニアとしてのキャリア選択を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
5-1. メリット1.業界知識や幅広いスキルが身につく
SESエンジニアとしてのキャリアは、多様なプロジェクトに関わるチャンスが豊富にあります。
未経験者であっても大規模プロジェクトに参画して、大企業のノウハウや知識が得られたり、プロジェクトによる開発手法の違いを経験することができます。
その結果、さまざまな業界の知識や技術を身につけることができるのが大きな魅力で、これらの経験は、将来的にフリーランスとして独立する際の強みともなり得ます。
多岐にわたるプロジェクト経験は、エンジニアとしての市場価値を高めることができるでしょう。
5-2. メリット2.人間関係が固定されず人脈が増える
SESエンジニアとして働く最大の魅力の一つは、人間関係が固定されないことです。
契約期間が決まっているため、一般的な職場でよくある人間関係のトラブルを避けやすくなります。
さらに、プロジェクトが変わるたびに新しいクライアントやチームメンバーとの関わりが生まれ、それにより新しい人脈がどんどん増えていきます。
このような環境は、キャリアの幅を広げるための大きなアドバンテージとなります。
5-3. メリット3.経験年数が浅くても高単価のチャンスがある
SESエンジニアとしてのキャリアは、経験年数が浅い段階から高単価の案件に挑戦するチャンスが広がります。
特定の技術や分野に精通しているだけでなく、様々な案件を経験することで、自身のポートフォリオが充実し、それが高単価の強力な武器となります。
このような環境は、早い段階でのキャリアアップを実現するためのステップとして、多くのエンジニアにとって魅力的な選択肢となるでしょう。
5-4. デメリット1.プロジェクトの全工程に関われない
SESエンジニアとしての業務は、特定のプロジェクトの一部のフェーズに特化して関与することが一般的です。
これは、全体の流れや最終的な成果を直接経験するのが難しいという側面があります。
しかし、これは逆に、プログラミングを専門にするなど、特定のフェーズに集中してスキルを磨くことができるというメリットにもなります。
短期間で多くのプロジェクトを経験することで、その分野の専門家としての価値を高めることが可能です。
5-5. デメリット2.案件によっては年齢制限がある
SES業界において、案件によっては年齢制限が設けられることがあります。
これは、クライアントの要望や、特定のスキルや経験を持つ年齢層を求める場合があるためです。
一見、制約と感じるかもしれませんが、これは逆に特定の年齢層にチャンスが増えるというメリットとも言えます。
例えば、若手エンジニアを求める案件では、新しい技術やアイディアを求められることが多く、その結果として、若手エンジニアの市場価値が上がることもあります。
5-6. デメリット3.環境が変わることでストレスを感じることがある
SESエンジニアとして働く際の特徴の一つは、案件ごとに職場やチームが変わることです。
このため、エンジニアはその都度、新しい環境や人間関係に適応する必要があります。
一方で、これがストレスの原因となることも少なくありません。特に、コミュニケーションの取り方やチームの文化が大きく異なる場合、適応するのが難しく感じる人もいるでしょう。
しかし、多様な環境での経験は、将来的に大きな強みとなることも忘れてはいけません。
6. まとめ.
SESと派遣は、契約形態や業務内容において明確な違いがあり、SESはクライアント企業から直接的な指示を受けないため、より専門家としての役割が求められます。
SESは準委任契約のもと、特定のフェーズのみのプロジェクトに関与することが多く、その特性から様々なメリット・デメリットがあるため、SESのイメージが誤解されやすいです。
特に、業界の知識の習得や人脈の拡大、高単価のチャンスがある一方で、プロジェクトの全体像を把握するのが難しい、年齢制限のある案件が存在する、異なる環境への適応が求められるなどの課題も存在します。
SESが必要とされる背景や実情を理解し、エンジニアとしてのキャリアを重厚にするために、特定の働き方にとらわれず、SESという働き方を上手く活用することが大切です。