SES営業に必要な7つの心構え

SES営業に必要な7つの心構え

 発売日: 2025/4/18 更新日: 2025/2/20
SES営業は、日本のIT技術の発展や企業のDXに大きく貢献する重要な役割を担っています。

一般的な人材派遣会社とは異なり、専門的な知識を有し、クライアントの複雑な要求を理解してIT技術者を提案する高度な能力が求められます。


この記事では、SES営業に必要な7つの心構えを具体的な例とともに解説します。

1. 顧客のニーズを理解する.


SES営業の最も大切なことは、顧客のニーズを理解することです。

顧客が何を求めているのか、どのような課題を抱えているのかを理解することで、適切なソリューションを提供することができます。


例えば、ある顧客がシステムの運用効率の低さやセキュリティの問題、またはデータ管理が困難であるため、人手が足りずシステム運用の経験がある技術者を求めていたとしましょう。

このような場合、SES営業はまず顧客の業務プロセスやシステム環境を詳しく把握する必要があります。

現場のプロジェクトマネージャーにヒアリングを行い、実際に使用しているシステムやツールを確認することで、顧客の抱える課題をより深く理解できます。


次に、その課題を解決するために必要なスキルセットを明確にします。

例えば、Linux運用経験、ネットワーク知識、セキュリティ対策の実績など、求められる要件を洗い出します。

このように、顧客のニーズを多角的に理解することが、適切な技術者を見つけ、顧客に最適なソリューションを提供する上で欠かせません。

2. 長期的な関係を築く.

SES営業は一度きりの取引ではなく、長期的な関係を築くことが重要です。

顧客との信頼関係を築くことで、継続的なビジネスチャンスを得ることができます。

そのため、IT技術者がプロジェクトにアサインされた後も、顧客にIT技術者の勤務状況やパフォーマンスが出ているか、また何か問題はないかをキャッチアップする必要があります。


例えば大手企業の情報システム部門と長年に渡って取引をしているSES営業がいたとします。

この営業は単に技術者の提案だけでなく、定期的にミーティングを設けて近況を確認し、技術者のパフォーマンスだけでなく、プロジェクトの進捗や新たな課題の有無など幅広く情報収集を行いました。


このように、きめ細かいフォローアップを継続的に行うことで、信頼関係が深まり、次のシステム更新時にも引き続き相談を受けるなど、長期的な取引関係を構築できました。

このように長期的視点を持つことが、SES営業には不可欠な心構えになります。

3. 継続的な学習.


IT業界は常に変化しているため、SES営業として、新しい技術やトレンドを学び続けることが必要です。

自分自身のITの知識をアップデートし続けることは、顧客だけでなくIT技術者からの信頼を得ることにも繋がります。


例えば、クラウドサービスの普及が進む中、SES営業がAWSについて学習したとします。

AWSの特徴や提供されているサービス、料金体系、事例などを詳しく調べました。

そしてあるクライアントに対し、オンプレミスのサーバを運用するよりも、AWSにシステムを移行した方がコストメリットがあり、セキュリティも高いことをアドバイスできました。

さらにクライアントの業務ニーズに合わせて、具体的にどのAWSサービスを組み合わせるとよいかを、アーキテクチャ図も用いて分かりやすく説明し、クライアントは納得して、AWSへの移行プロジェクトを決定しました。


このようにSES営業がクラウド技術を継続的に学習し、その知識を活かすことで、クライアント企業のDX支援に貢献できたという事例があげられます。

常に学び続け知識を蓄積することが、クライアントに最新で付加価値の高いソリューションを提案する上で不可欠なのです。

4. IT技術者とのコミュニケーションを深める.

IT技術者とのコミュニケーションを深めることで、技術的な視点からのフィードバックを得ることができます。

これは、IT技術者からの信頼を得ることにも繋がります。


例えば、ある案件で技術者から「このフレームワークの知識が不足している技術者が多く、作業が遅れがちである」という指摘を受けました。

SES営業はすぐさま、そのフレームワークに精通した技術者の追加投入を検討し、プロジェクトに提案しました。

このようにIT技術者の生の声に耳を傾け、フィードバックを活かすことで、より適切な技術者提案が可能になり、結果的に案件の品質向上にも繋がりました。


技術者からも「的確なアドバイスをもらえる」と高く評価され、相互の信頼関係を深めることができました。

このようにコミュニケーションを大切にすることが、SES営業に欠かせない重要な心構えなのです。

5. チームワークを大切にする.


SES営業は一人で行うものではありません。

他のSES営業と密な情報共有をしたり、既にプロジェクトに参画しているエンジニアと協力して、顧客の案件にマッチするスキルセットを持つIT技術者を提案します。


例えば、某大手メーカーの基幹システム更新プロジェクトでは、Java SEの中級者10名が求められていました。

自社のSES営業AがこのスキルセットのIT技術者を探していたところ、うまく人材が見つからず難航していました。


そこで、同じプロジェクトを担当するSES営業Bと情報を共有したところ、Bの方から「Java SEの上級者なら3名確保できそうだが、中級者が不足している」と教えられました。

すぐさまSES営業AとBで打ち合わせを行い、上級者3名と中級者7名の人員構成に変更し、クライアントにも提案することにしました。


さらに、プロジェクトに参画している自社のシステムエンジニアからは「中級者でも問題ない。上級者が手取り足取り指導する」と助言を得ました。

これを踏まえ、最終的に上級者3名と中級者7名の計10名の投入が決まりました。


このようにSES営業同士で密に情報を共有し、既に関与しているエンジニアの協力を得ながら、より適切な人員構成を検討することができました。

お互いに高め合い、協力し合うチームワークがあってこそ、クライアントニーズにマッチした提案が可能になるのです。

6. ストレスを溜めこまないようにする.

SES営業はその仕事柄、顧客とIT技術者との調整役となることが多く、人間関係のストレスを伴うことが往々にしてあるため、ストレスを溜めないようなセルフコントロールが重要です。


例えば、ある企業のシステム移行プロジェクトでは、移行リハーサル中にデータ引き継ぎでエラーが発生し、スケジュール遅延が避けられない状況になりました。

SES営業はクライアントとIT技術者の間に立ち、双方への調整を強いられました。


このように、予期せぬ事態が発生すると、SES営業は多方面からの圧力を受けがちです。

しかし、ストレスに負けてパニックになるようでは適切な判断ができません。

落ち着いてリスクを正しく分析し、解決策を立案できる心構えが重要です。


そのため、日頃から相談できる上司やエンジニアと信頼関係を築き、ストレスを溜めこまないようにすることが大切です。

趣味や運動でリフレッシュを図り、メンタル面でストレス耐性を高めておくことが求められます。

7. 倫理的な行動を心掛ける.


最後に、SES営業としては、常に倫理的な行動を心掛けることが重要です。

不適切な行動は、顧客との信頼関係を損なうだけでなく、企業の評判にも影響を与えます。


例えば、あるクライアント企業のプロジェクトでは、SES営業が人件費を水増し請求していたという不正が発覚した事例がありました。

この事実が判明すると、クライアント企業は当該SES会社との取引を即座に停止。

さらにこの不正は業界内に広く知れ渡り、他の顧客からも不審の目で見られるようになってしまいました。


結果として、この不正は単に金銭的な損失にとどまらず、SES企業の信用を著しく失墜させ、新規案件の受注にも大きな影響を与えることになりました。

一時的な利益のために、長年培った顧客との信頼関係を失ってしまったわけです。


このように、SES営業においては、常に高い倫理観を持ち、透明性の高い適正な業務遂行を心掛ける必要があります。

費用の過剰請求や優秀な技術者の一方的な引き抜きなど、一見小さな不正でも、結果としてクライアントの信頼を裏切ることになりかねません。

SES業界の存続と発展のためにも、公正で誠実なビジネスプラクティスを貫くことが何より重要なのです。

8. まとめ.

この記事では、SES営業に必要な7つの心構えについて解説しました。

 1.顧客のニーズを理解する
 2.長期的な関係を築く
 3.継続的な学習
 4.IT技術者とのコミュニケーションを深める
 5.チームワークを大切にする
 6.ストレスを溜めこまないようにする
 7.倫理的な行動を心掛ける


SES営業は、単なる人材派遣業務ではありません。

クライアント企業の課題解決とDX推進を支援し、IT技術者のキャリア形成を後押しする、極めて専門性の高い職種です。

このような役割を果たすため、上記の心構えを持ち続けることが不可欠となります。

高い倫理観と使命感、コミュニケーション能力、学習意欲など、様々な資質が求められるのがSES営業の仕事なのです。


ぜひ、SES営業に必要な7つの心構えを深く理解し、日々の営業活動に活かしてみてください。

それぞれの心構えが、あなたが壁にぶつかったときの道標となり、成功へと導く一助となることを願っています。