SES、SIer、システムベンダーの違いとは?それぞれのメリット・デメリットを解説!

SES、SIer、システムベンダーの違いとは?それぞれのメリット・デメリットを解説!

 発売日: 2025/5/14

SES営業の皆さんは、SIer、システムベンダーといった言葉を耳にしたことがあるでしょうか?用語は聞いたことがあっても、それぞれがどのような違いかを正しく理解している人は少なくないかもしれません。


これら3つの業態は、ITサービスを提供するうえで異なる形態を取っており、役割やビジネスモデルにも違いがあります。

本記事では、SES(システムエンジニアリングサービス)、SIer(システムインテグレーター)、システムベンダーについて、それぞれの特徴とメリット・デメリットを詳しく解説します。

1. SES(システムエンジニアリングサービス)とは?.


1. SESの概要

SESは「システムエンジニアリングサービス」の略で、企業にエンジニアを派遣し、顧客のプロジェクトに従事させる形態のことを指します。

派遣型の業務形態のため、SES企業はエンジニアをクライアントのオフィスに常駐させ、一定期間その企業で働く形になります。


SESは、特定のプロジェクトに対して柔軟にリソースを提供するために利用されます。

クライアントはSES企業と契約し、エンジニアを必要な期間だけプロジェクトに参画させることができます。

2. SESのメリット

1.即戦力の提供:
SES企業から派遣されるエンジニアは、既にスキルや経験を持っているため、即戦力としてプロジェクトに貢献できます。
これにより、クライアントはエンジニアの採用やトレーニングのコストを削減できます。

2.柔軟なリソース調整:
クライアントはプロジェクトの進行状況や規模に応じてエンジニアの人数を調整できるため、変動するニーズに柔軟に対応できます。

3.短期間での導入:
クライアントはエンジニアを採用せずに短期間でプロジェクトにアサインできるため、早急な対応が必要なケースでもスムーズに業務を進めることができます。

3. SESのデメリット

1.エンジニアの定着率が低い:
SESはあくまで派遣型であり、エンジニアはプロジェクト終了後に別のクライアントへ派遣されます。
これにより、エンジニアの定着率が低く、長期的なチームワークの構築が難しいという課題があります。

2.成果物保証がない:
SESは人材提供が主なサービスであるため、プロジェクトの成果物に対して直接の責任を負いません。
クライアント側でプロジェクト管理が必要です。

3.コミュニケーションコスト:
外部のエンジニアをプロジェクトに取り込むため、社内のエンジニアや他のメンバーとのコミュニケーションにおいて追加のコストがかかる可能性があります。

2. SIer(システムインテグレーター)とは?.


1.SIerの概要

SIer(システムインテグレーター)は、企業のITシステムを構築・導入する企業や業務を指します。SIerは、クライアントの要件に基づいてシステム全体を設計し、必要なソフトウェアやハードウェアを統合して提供します。

SIerの業務は主に「システム設計」「開発」「導入」「保守運用」の4つのフェーズで行われ、クライアントのビジネス課題に応じてオーダーメイドでITソリューションを提供します。

2.SIerのメリット

1.ワンストップソリューション:
SIerはシステムの設計から導入、運用までを一貫して提供するため、クライアントは一つの窓口で全てのITニーズを満たすことができます。
特に複雑なシステム構築が必要な企業にとっては、非常に有益です。

2.技術力と経験の蓄積:
SIerは多数のプロジェクトを通じて技術力を磨いているため、クライアントは高い信頼性を持つシステムを手に入れることができます。
また、大規模なプロジェクトにおいても多くの実績を持っています。

3.カスタマイズ性:
クライアントの要件に応じてシステムをカスタマイズできるため、最適なソリューションを提供できます。
企業ごとの特化したニーズに対応可能です。

3.SIerのデメリット

1.コストが高い:
SIerはオーダーメイドのシステムを構築するため、コストが高額になる場合があります。
特に大手のSIerに依頼する場合、システム構築費用が高騰することが一般的です。

2.納期が長い:
大規模なシステム開発や導入には時間がかかるため、納期が長くなることがあります。
特に複数の部門を跨ぐプロジェクトでは、全体の調整に多くの時間を要します。

3.柔軟性に欠けることがある:
オーダーメイドでシステムを構築するため、後からの変更や仕様追加が難しい場合があります。
契約段階で詳細を決める必要があるため、途中で要件が変わると、プロジェクト全体に影響が出ることがあります。

3. システムベンダーとは?.


1.システムベンダーの概要

システムベンダーは、自社で開発したソフトウェアやハードウェア製品を提供する企業を指します。

例えば、ERP(企業資源計画)やCRM(顧客関係管理)など、特定の業務に特化したソフトウェアを提供している企業が典型的なシステムベンダーです。

システムベンダーの製品はパッケージとして提供され、企業はそれを自社の業務に導入します。

2.システムベンダーのメリット

1.即時導入可能:
システムベンダーのソリューションはパッケージ化されているため、すぐに導入できるのが特徴です。導入までの時間を短縮できるため、早急なシステム化が求められる場合に適しています。

2.コストが抑えられる:
既に開発済みのパッケージを購入するため、SIerにオーダーメイドで開発を依頼するよりもコストが抑えられます。中小企業やスタートアップ企業にとっては、導入コストの観点で有利です。

3.ベンダーサポートの充実:
システムベンダーは自社製品を提供しているため、導入後のサポートが充実していることが多いです。製品のメンテナンスやアップデートもベンダー側で行われます。

3.システムベンダーのデメリット

1.カスタマイズ性に制限がある:
システムベンダーが提供するパッケージソフトは、ある程度の汎用性を持っていますが、特定の業務に対するカスタマイズには限界があります。
企業独自のニーズに完全に対応できないことがあるため、場合によっては業務のプロセスをシステムに合わせる必要があります。

2.他システムとの連携が難しい:
パッケージソフトは他のシステムとの連携に限界がある場合があります。
特に既存のシステムや他社製品と統合する際に、

3.他システムとの連携が難しい:
システムベンダーのパッケージソフトは、他のシステムやソフトウェアとの連携が難しい場合があります。
特に既存システムとの統合を考える企業にとっては、システムベンダーのソリューションがそのままでは十分に機能しない可能性があります。
企業の要件に合わない場合、追加開発やカスタマイズが必要になり、その結果コストがかかることもあります。

4.バージョンアップの制約:
システムベンダーが提供するソフトウェアは、定期的にバージョンアップが行われるものの、その際に旧バージョンとの互換性がなくなったり、設定の再調整が必要になったりすることがあります。
これにより、業務フローに影響が出る可能性があります。

4. SES、SIer、システムベンダーの違いを比較.

これまで紹介してきたSES、SIer、およびシステムベンダーには、それぞれ異なる役割や強みがありますが、どの形態を選ぶかは企業のニーズやプロジェクトの特性によって異なります。

ここでは、3つの業態をそれぞれの観点から比較してみましょう。

5. それぞれの業態が向いている企業やプロジェクト.


それぞれの業態が持つ特徴を踏まえ、どのような企業やプロジェクトに適しているのかを具体的に見ていきます。

1.SESが向いているケース

SESは、プロジェクトごとにエンジニアのリソースを柔軟に確保したい場合や、すでに内部でプロジェクトの指揮を取れる人材がいる場合に適しています。

例えば、急にリソースが不足した際や、特定の技術を持つエンジニアを短期的に必要とする場面でSESは有効です。

また、企業内でプロジェクトを管理しながら外部リソースを活用したい場合に、SESを活用するのが一般的です。

2.向いている企業・プロジェクト

 ・中小企業やスタートアップで短期的にエンジニアリソースが不足している場合

 ・内部に技術指導者がいるが、リソースが不足しているプロジェクト

 ・特定の技術に特化したスキルが一時的に必要な場合

3.SIerが向いているケース

SIerは、全社規模のシステムを一から構築する必要がある場合や、複数の部門にまたがる複雑なシステムの導入が必要な場合に適しています。

カスタマイズ性が高く、企業のニーズに合わせたオーダーメイドのシステムを構築できるため、特に大企業や官公庁のような大規模なシステムを扱うプロジェクトでよく利用されます。

4.向いている企業・プロジェクト

 ・大企業や官公庁で複雑なシステムを構築する必要がある場合

 ・複数の部門や業務プロセスに対応したシステムが必要な場合

 ・カスタマイズ性を重視し、長期的にシステムを運用していくプロジェクト

5.システムベンダーが向いているケース

システムベンダーは、即時に導入できるパッケージソフトが必要な場合や、特定の業務プロセスに適したソフトウェアを導入したい企業に向いています。

導入コストが比較的低く、短期間で利用可能なため、業務の一部を自動化したい中小企業や特定の部門においてよく活用されます。

6.向いている企業・プロジェクト

 ・中小企業やスタートアップで、特定の業務の効率化を図りたい場合

 ・業務部門ごとに導入するソフトウェアを探している場合

 ・迅速にシステムを導入したいが、特定のカスタマイズが不要な場合

6. まとめ.

SES、SIer、システムベンダーはそれぞれ異なる特徴と強みを持つITサービスです。

SESは柔軟にリソースを提供でき、短期的なリソース確保や特定技術の導入に適しています。

また、SIerはオーダーメイドのシステムを構築し、大規模なシステム開発・運用に強みを持っています。


システムベンダーはコストやスピードを重視する企業に適しており、即時導入可能なパッケージソフトを提供します。

それぞれ特定の業務に特化したソリューションを提供しており、企業がどのサービスを利用するかは、そのプロジェクトや業務の要件によって異なります。


SES営業は、エンジニアの派遣だけでなく、クライアントがどのようなシステム開発の形態を必要としているのか、またする力が求められます。

これらを知ることで、そのプロジェクトがSES、SIer、システムベンダーのどれに適しているか、クライアントのニーズに最適な提案を行うことができるでしょう。