
SES営業が知っておくべき最新のITトレンドとは?
クラウド、AI、IoTなど、ここ数年で劇的な変化を遂げた分野は多数あります。
これらの最新技術は、企業のIT活用ニーズを大きく変容させつつあります。
このようなトレンドの中で、IT業界のオーソリティであるSES営業には、常に最新のIT技術動向を把握し続ける必要があります。
なぜならば、顧客が抱えるシステム課題や期待するソリューションは、技術の進化に伴い絶えず変化しているからです。
営業担当者が最新技術を理解しておかないと、顧客のニーズを把握できず、最適なソリューションを提案できません。
結果として、顧客の期待に添えない提案しかできなくなってしまいます。
SES営業が最新のIT技術を知っておくことは、売上アップや高付加価値提案に直結する極めて重要なスキルなのです。
本記事では、SES営業が知っておくべき最新の技術動向と、その活用のポイントをご紹介します。
1. クラウド / サーバーレスコンピューティング.

クラウドコンピューティングは近年急速に普及が進んでいます。
パブリッククラウドのAWS、Azure、Google Cloud Platformなどのサービスは、システム開発の敷居を大幅に下げ、スピーディーな立ち上げを可能にしています。
さらに、サーバーレスアーキテクチャ*1の台頭で、サーバー管理の手間がほとんど不要となり、リソースを最適化しつつ柔軟に拡張できます。
クラウドの特性を最大限に生かすようデザインされたシステム基盤を、低コストで短期間に構築できるメリットは大きいでしょう。
*1:サーバーレスアーキテクチャとは、アプリケーションの実行にサーバーリソースを永続的に確保しない設計アプローチのことです。
従来のシステムでは、アプリケーションを実行するためのサーバーリソース(CPU、メモリ、ストレージなど)を常時確保する必要がありました。
しかし、サーバーレスアーキテクチャではリソースを動的に確保・解放することができます。
2. AI / 機械学習.
AIやディープラーニングによる機械学習の発展は目覚ましいものがあります。
画像認識、自然言語処理、予測モデリングなど、さまざまな分野で人間を超えるAIの実用化が進んでいます。
AIを活用したサービス事例としては、以下のようなものが挙げられます。
・医療画像からの病変自動検知
・チャットボットによる自動応対
・需要予測による適正在庫の算出
・異常検知によるプロセス自動最適化
・自然言語で検索できるAI検索エンジン
このようにAIは業界を問わず幅広く活用が進んでいます。
特に企業においては、業務自動化や意思決定支援、マーケティング施策の最適化などで、AIの活用が不可欠となりつつあります。
AI/機械学習技術は今後、ヘルスケア、モビリティ、スマートシティ/ホーム、製造業、小売/マーケティング、金融/保険など、あらゆる産業分野で幅広く活用が進むと考えられています。
・ヘルスケアでは医療画像診断支援や創薬プロセスの効率化
・モビリティでは自動運転や輸送ルート最適化
・スマートシティ/ホームでは都市/家庭のエネルギー制御や生活支援
・製造業では工程の自動化や予知保全
・小売/マーケティングでは価格最適化や顧客対応の自動化
・金融/保険では不正検知や投資助言への活用
このようにAI/機械学習はあらゆる業種の業務プロセスを最適化し、高度な自動化を実現する汎用技術です。
SES営業には、顧客業界ごとの最新のAIユースケースを把握し、適切なAIソリューションを提案できる力が求められています。
3. コンテナ.
コンピューターでアプリケーションを動かすには、プログラムの他にも多くの関連ファイルが必要です。
コンテナはこれらの関連ファイルを一つにまとめ、どの環境でも同じ状態で動作できるようにする技術です。
コンテナを使えば、アプリケーションの動作環境を簡単に移動したり、共有したりできます。
開発中の環境と実際に利用する環境が異なっていても、同じ動作を保証できるのがメリットです。
中でも「Docker」と「Kubernetes」というコンテナ管理ツールはシェアが高いため押さえておきましょう。
3-1. Docker
Dockerは、コンテナ技術の中でも特に有名なツールで、アプリケーションとその依存関係を一つのコンテナにパッケージ化することができます。
これにより、開発環境から本番環境への移行が容易になり、また異なる環境間でも同じ動作を保証します。
Dockerはまた、コンテナの作成、デプロイ、管理を行うためのコマンドラインインターフェースを提供しています。
3-2. Kubernetes
Kubernetesは、複数のコンテナを自動的に管理するためのツールです。
コンテナの開始、停止、スケーリング、ロードバランシングなどを自動化できるので、大規模なシステムでも効率的に運用できます。
さらに、オンプレミスとクラウドを組み合わせた環境でも利用可能です。
Kubernetesの大きなメリットは、システムのスケーリングと可用性の向上です。
コンテナの数を簡単に増減でき、障害が起きてもコンテナを自動的に再起動します。
また、ロードバランサーを通じて自動的にトラフィックを分散できます。
SES営業は、これらのツールの仕組みと利点を理解することで、システム運用の効率化や、クラウド環境への移行など、より顧客のニーズに適した提案ができるでしょう。
3-3. DevOps
DevOpsとは、開発(Development)と運用(Operations)を組み合わせた言葉で、開発チームと運用チームが密に連携し、ソフトウェアの開発から運用までを一体化して行うための手法です。
従来は開発と運用が別々の部署で行われていましたが、DevOpsではその垣根を取り払い、お互いに協力しながらアプリケーションのライフサイクル全体を通じて継続的にソフトウェアを提供し、改善するプロセスを実現します。
DevOpsを実践することで、以下のようなメリットが期待できます。
・開発から運用までの間のリードタイムが短縮される
・リスクを最小限に抑えながら、小さな変更を頻繁にリリースできる
・開発と運用の連携が強化され、お互いを理解しやすくなる
・自動化によってヒューマンエラーを減らせる
DevOpsは、システム開発の効率化やソフトウェアの品質向上が期待できるため、導入する企業も増えてきているため、DevOpsの目的やメリットを把握しておきましょう。
3-4. インフラアズコード
インフラアズコードとは、システムインフラストラクチャをコード化して管理する考え方です。
従来のように手動で設定を行うのではなく、コード(定義ファイル)を使って自動的にインフラを構築・設定します。
代表的なインフラアズコードツールには、Terraform、Ansible、Puppet、Chefなどがあります。
これらを使うことで、以下のようなメリットが得られます。
・インフラ構築の自動化によりミスが減り、安定した環境が構築できる
・コードで状態を定義できるので、環境の再現性が高まる
・インフラ構成をバージョン管理でき、変更履歴を追跡しやすい
・クラウド環境への移行がスムーズになる
インフラアズコードを活用することで、手作業に頼るよりも確実で再現性の高いシステム構築が可能になります。
SES営業はこの考え方を理解し、効率化やクラウド移行の提案につなげることが重要です。
4. まとめ.
IT技術は日夜進化を遂げており、その革新のスピードは今後さらに加速していくことが予想されます。
SES営業はそれぞれの技術の特徴やメリット、活用事例を把握しておくことで、顧客のニーズを的確に捉えることができます。
最適なソリューションを提案するためには、SES営業自身がITトレンドに興味を持って学び続ける姿勢が大切です。
技術の進歩に追従できなければ、顧客の本当の課題を見落とし、的はずれな提案をしてしまう可能性があります。
IT技術と同じようにSES営業自身も絶えず成長し続けることで、期待に十分に応えられる提案力を身につけることができるのです。