
SESでもリモートワークはできる?リモートワークの現状と今後の展望
新型コロナウイルスの感染拡大を機に、多くの企業がリモートワークを導入し、働き方の大きな変革が起こりました。
しかし、SES(システムエンジニアリングサービス)業界では、クライアント先での常駐作業が一般的であったため、リモートワークの導入には課題が多いと考えられてきました。
本記事では、SES業界におけるリモートワークの現状と課題、そして今後の展望について詳しく解説します。
SES企業の経営者や営業担当者、エンジニアの方々に役立つ情報を提供し、リモートワークの可能性を探ります。
1. SES業界におけるリモートワークの現状.
SES業界におけるリモートワークの導入状況は、大手SIerやベンダーなどに比べてやや遅れていると言えます。
しかし、コロナ禍を契機に、徐々にリモートワークを取り入れる企業が増えてきています。
1.リモートワーク導入の状況
日本のIT業界において、新型コロナウイルス感染症の拡大後、テレワークの導入が急速に進んでいます。
総務省の調査によれば、民間企業の50%以上がテレワークを導入しており、テレワーク等を利用したことがある割合は日本では30%程度です。
2.リモートワーク可能な業務
SES業界でリモートワークが可能な業務としては、以下のようなものが挙げられます。
・システム設計・開発
・プログラミング
・テスト・品質管理
・プロジェクト管理
・技術サポート・保守
3.クライアント企業の反応
クライアント企業の反応は様々です。セキュリティ上の懸念から慎重な姿勢を示す企業もあれば、生産性向上や働き方改革の観点から積極的に受け入れる企業もあります。
業種や企業文化によって大きく異なるのが現状です。
2. SES業界でのリモートワーク導入の課題.
SES業界特有の課題と、一般的なリモートワークの課題が存在します。
これらの課題を理解し、適切に対処することが重要です。
1.セキュリティの確保
クライアント企業の機密情報を扱うSES業務では、セキュリティの確保が最重要課題の一つです。
具体的には以下のような対策が必要となります。
・VPNの使用
・多要素認証の導入
・エンドポイントセキュリティの強化
・セキュリティポリシーの策定と徹底
2.コミュニケーションの課題
リモートワークでは、対面でのコミュニケーションが減少するため、以下のような課題が生じる可能性があります。
・チーム内のコミュニケーション不足
・クライアントとのコミュニケーションの難しさ
・新人教育・OJTの困難さ
これらの課題に対しては、オンラインツールの効果的な活用やコミュニケーションルールの策定が有効となるでしょう。
3.労務管理の難しさ
また、リモートワークでは、従業員の労働時間や業務進捗の管理が難しいと言われています。
プロジェクト管理者や責任者は以下の対策を検討してください。
・勤怠管理システムの導入
・定期的な進捗報告のルールの導入
・成果物主体の評価制度の導入
3. リモートワーク時代のSES営業戦略.
リモートワークの普及に伴い、SES営業の戦略も変化する必要があります。
以下に、リモートワーク時代のSES営業戦略のポイントを紹介します。
1.リモートワーク対応力をアピール
リモートワークに対応できる体制や実績を積極的にアピールしましょう。
例えば、具体的なセキュリティ対策、リモートワーク導入件数やケーススタディ、リモート環境下でのプロジェクト管理実績などです。
2.オンライン商談スキルの向上
対面での商談機会が減少する中、オンライン商談のスキルを磨くことも重要です。
オンラインツールの機能理解や、パワーポイントやGoogleスライドを使ったプレゼンテーションの技術向上、バーチャル背景を活用して自社ロゴや社名を覚えてもらうなどが考えられます。
3.リモートワーク特化型サービスの開発
リモートワークに特化したSESサービスを開発し、差別化を図ることも有効です。
リモートワーク導入支援サービス、リモートセキュリティ監査サービス、バーチャルチーム構築・運用支援サービスなど、SES企業が代理店となって、クライアント企業へリモート化を提案することも可能です。
4.デジタルマーケティングの強化
オフラインでの営業活動が制限される中、デジタルマーケティングの需要が増しています。
例えば、SEO対策の強化、コンテンツマーケティングの推進、SNSを活用した情報発信などの取り組みは、クライアント企業やエンジニア人材の確保に役立つでしょう。
5.柔軟な契約形態の提案
リモートワークの特性を活かした柔軟な契約形態を提案することで、クライアントのニーズに応えることができます。
時間単位の契約や成果報酬型の契約、ハイブリッド型(リモート+常駐)の契約など、クライアントがメリットを感じられる提案をすることでリモートワークへの敷居が下がる可能性があります。
4. SES業界におけるリモートワークの今後の展望.
今やリモートワークは感染症対策の一時的な対応ではなく、新しい働き方のスタンダードとして定着しつつあります。
SES業界においても、この流れは無視できません。
以下に、SES業界におけるリモートワークの今後の展望について考察します。
1.ハイブリッドワークモデルの普及
グーグルはハイブリッド・ワーク・ポリシーを更新し、社員の出勤状況を追跡することや、出勤状況を業績評価に含めることを盛り込んでいます。
同様に、アマゾンもオフィスから50マイル以内に住む従業員に対して週に2日は出社を求めています。
以上のことから、今後は日本も完全リモートではなく、オフィスワークとリモートワークを組み合わせたハイブリッドワークモデルが主流になると予想されます。
これにより、リモートワークの利点を活かしつつ、対面でのコミュニケーションも確保できます。
2.グローバル人材の活用
リモートワークの普及により、地理的制約が緩和され、海外の優秀なエンジニアを活用しやすくなります。
これにより、SES業界のグローバル化が進むと考えられます。
3.セキュリティ技術の進化
リモートワークにおけるセキュリティ課題に対応するため、新たなセキュリティ技術の開発と導入が進むでしょう。
ゼロトラストセキュリティやAIを活用した異常検知システムなどの普及が加速するでしょう。
4.働き方改革の更なる推進
リモートワークの定着により、働き方改革が一層重要視されると考えられます。
具体的には労働時間の柔軟化や副業・兼業の容認など、より自由度の高い働き方が一般化するでしょう。
5.新たなビジネスモデルの登場
リモートワークを前提とした新たなSESビジネスモデルが登場する可能性があります。
例えば、クラウドソーシングとSESを組み合わせたハイブリッドモデルなどが考えられます。
5. まとめ.
SES業界におけるリモートワークは、課題も多い一方で大きな可能性を秘めています。
セキュリティ、コミュニケーション、労務管理などの課題に適切に対処しつつ、リモートワークのメリットを最大限に活かすことが重要です。
今後、テクノロジーの進化や働き方改革の推進により、SES業界におけるリモートワークの可能性はさらに広がっていくでしょう。
この変化を前向きに捉え、積極的に対応していくことが、SES企業の競争力強化につながります。
リモートワークは、単なる働く場所の変更ではなく、働き方そのものの変革を意味します。
この変革を通じて、SES業界がより柔軟で創造的な産業へと進化していくことが期待されます。