
SESプロジェクトに必要なリーダーシップ理論!あなたはどのタイプ?
SES(システムエンジニアリングサービス)で編成されたプロジェクトは、複数の企業や組織が関わる複雑な環境で行われることが多く、リーダーシップの重要性がより高いと言えます。
本記事では、SESプロジェクトに適用できる主要なリーダーシップ理論を紹介し、あなたのリーダーシップタイプを診断する方法をお伝えします。
あなたに向いているリーダーシップのスタイルを理解し、プロジェクトの成功に向けて最適なリーダーシップを発揮しましょう。
1. リーダーシップとは.
リーダーシップとは、個人やグループに影響を与え、共通の目標達成に向けて導く能力のことを指します。
単なる指示や命令ではなく、メンバーのモチベーションを高め、潜在能力を引き出し、組織全体のパフォーマンスを向上させることもリーダーに求められるスキルセットです。
リーダーシップには共通して以下の要素が含まれます。
これらの要素を状況に応じて柔軟に組み合わせ、チームを成功へと導くのがリーダーの役割です。
1.ビジョンの明確化と共有
2.目標設定とその達成に向けた戦略立案
3.チームメンバーの育成とエンパワーメント
4.効果的なコミュニケーションとフィードバック
5.意思決定と問題解決
6.変化への適応と革新の促進
2. 代表的なリーダーシップスタイル.
効果的なリーダーシップは、プロジェクトの構成やメンバーとの関係性によって異なるため、全てのプロジェクトに万能なリーダーシップスタイルというのは存在しません。
ここではPMBOKと呼ばれるプロジェクト管理のフレームワークで提唱されている代表的な4つのリーダーシップスタイルをご紹介します。
それぞれ異なる視点からリーダーシップを捉えており、状況や目的に応じて適切なリーダーシップスタイルを選択することが重要です。
2-1. トランザクショナルリーダーシップ
トランザクショナルリーダーシップは、明確な目標設定、報酬とペナルティ、および規則の遵守に重点を置き、リーダーとメンバーの間の心理的な取引や交換に基づくリーダーシップスタイルです。
1.トランザクショナルリーダーシップが向いているプロジェクト
明確な目標と納期が設定されたプロジェクトや、標準化されたプロセスが導入できる場合に効果を発揮します。
例えば、クライアントの明確な要件に基づいたシステム開発や、厳格な品質管理が求められる場合に適しています。
このような客観的で定量的な評価制度は、メンバーからの不平や不満が起こりにくくなります。
2.トランザクショナルリーダーシップのメリット
・短期的なプロジェクトに効果的
・エラーが発生した場合に責任の所在が明確
・評価基準が明確なためフィードバックが容易
3.トランザクショナルリーダーシップのデメリット
・メンバーの創造性や意見が抑制される
・長期的なビジョンや変革が起きにくい
・評価が外的報酬であるため、内発的動機づけが弱い
2-2. トランスフォーメーショナルリーダーシップ
トランスフォーメーショナルリーダーシップは、フォロワーの意識を高め、組織全体の変革を促すリーダーシップスタイルです。
このタイプのリーダーは、カリスマ型リーダーシップとも呼ばれ、ビジョンの共有、革新的思考の奨励など、メンバーが自立性をもって行動し、成長することを重視しています。
1.トランスフォーメーショナルリーダーシップが向いているプロジェクト
革新的なソリューションが求められる複雑なプロジェクトや、チームの能力向上が重要な長期プロジェクトで効果を発揮します。
例えば、新技術の導入を伴う大規模システム刷新や、クライアントの業務プロセス改革を支援するプロジェクトに適しています。
2.トランスフォーメーショナルリーダーシップのメリット
・モチベーションと組織へのコミットメントの維持
・不確実性の多いプロジェクトでも対応できる
・長期的なプロジェクトに効果的
3.トランスフォーメーショナルリーダーシップのデメリット
・メンバーが成熟するのに時間がかかる
・すべてのメンバーに響くとは限らない
・リーダーの資質や魅力に大きく依存する
2-3. サーヴァントリーダーシップ
サーヴァントリーダーシップは、経営コンサルタントのロバート・グリーンリーフ氏が提唱したもので、リーダーがまずメンバーに奉仕し、その結果としてリーダーシップを発揮するという考え方に基づいています。
このタイプのリーダーは、チームメンバーの成長と幸福を最優先し、自己の利益よりもチームの利益を重視します。
1.サーヴァントリーダーシップが向いているプロジェクト
チームメンバーの専門性や創造性が重要な役割を果たすプロジェクトで効果を発揮します。
例えば、高度な技術スキルを要する研究開発プロジェクトや、クライアントとの緊密な協力が必要なスクラム型のプロジェクトに適しています。
2.サーヴァントリーダーシップのメリット
・メンバーが自分のタスクに集中できる
・短期〜長期的なプロジェクトに効果的
・リーダー不在でもチームが自走できる
3.サーヴァントリーダーシップのデメリット
・一定の能力を持ったメンバーが必要
・権威主義的な組織文化には合わない
・リーダーの負担が大きくなる可能性
3. シェアードリーダーシップ.
シェアードリーダーシップは、リーダーシップの責任と権限をチーム全体で共有する考え方です。
このアプローチでは、特定の個人がリーダーとして指名されるのではなく、状況やタスクに応じて異なるメンバーがリーダーシップを発揮します。
つまり、複数または全員がリーダーシップをとるスタイルです。
1.シェアードリーダーシップが向いているプロジェクト
さまざまなスキルセットが必要な複雑なプロジェクトや、急速に変化する環境下でのプロジェクトに適しています。
例えば、クロスファンクショナルなチームで行うアジャイル開発プロジェクトや、複数の専門分野にまたがる統合システム開発などに効果的です。
2.シェアードリーダーシップのメリット
・イノベーティブなプロジェクトに効果的
・チームメンバーの主体性向上
・メンバーのパフォーマンスが出やすい
3.シェアードリーダーシップのデメリット
・意思決定に時間がかかる可能性
・責任の所在が不明確になるリスク
・リーダーの調整能力が求められる
4. 自分のリーダーシップタイプを知る方法.
ここからは、簡単なリーダーシップ診断テストを紹介します。
以下の質問に対して、1(全く当てはまらない)〜5(非常に当てはまる)の5段階で回答してください。
・質問
1.明確な目標設定と業績評価を重視する
2.チームメンバーの個人的成長を支援することに喜びを感じる
3.チームの利益のために自己犠牲を厭わない
4.リーダーシップの責任を他のメンバーと共有することを好む
5.規則や手順の遵守を重視する
6.革新的なアイデアを積極的に奨励する
7.メンバーの意見に耳を傾け、共感することを大切にする
8.状況に応じて柔軟に役割を変更できる
9.報酬と罰則を用いてチームを動機づける
10.魅力的なビジョンを示し、メンバーを鼓舞する
11.チームメンバーのニーズを最優先する
12.集団的な意思決定プロセスを好む
・診断結果
各リーダーシップタイプに関連する質問の平均点を計算してください。
最も高いスコアを示すタイプが、あなたの主要なリーダーシップスタイルの傾向を表しています。
ただし、効果的なリーダーはプロジェクトに応じて異なるスタイルを使い分けることが重要です。
・トランザクショナルリーダー:質問1, 5, 9
・トランスフォーメーショナルリーダー:質問2, 6, 10
・サーヴァントリーダー:質問3, 7, 11
・シェアードリーダー:質問4, 8, 12
5. まとめ.
SESプロジェクトでは、ステークホルダーとの調整、品質管理、リスク管理など、複雑な課題に対処するリーダーシップが求められます。
しかし、リーダーシップは一朝一夕に身につくものではありません。
リーダーとしての経験を積み、フィードバックを受け入れ、常に学び続ける姿勢が重要です。
また、自己診断を通じて自分のリーダーシップスタイルを理解することで、強みを活かし、弱点を改善する機会が得られます。
これらのアクションを通じて、SESプロジェクトリーダーとしての能力を継続的に向上させ、キャリアの長期的な成功を実現してください。
あなたの努力と成長が、プロジェクトの成功、チームメンバーの発展、そしてクライアントの満足につながることを願っています。