セキュリティインシデントの3割はヒューマンエラー!SESに必要な対策とは?

セキュリティインシデントの3割はヒューマンエラー!SESに必要な対策とは?

 発売日: 2025/3/14 更新日: 2025/2/20

大手出版社がサイバー攻撃を受けたことは記憶に新しいですが、実際に企業を取り巻くサイバーセキュリティの脅威は急速に増大しています。

特に注目すべきは、セキュリティインシデントの約3割がヒューマンエラーに起因しているという点です。

SES(システムエンジニアリングサービス)業界においても、この問題は他人事ではありません。


本記事では、SES業界におけるヒューマンエラーによるセキュリティリスクと、その対策について詳細に解説します。

SES営業や責任者、プロジェクトマネージャー、エンジニアの方々に役立つ情報を提供し、セキュリティ対策の強化に貢献できれば幸いです。

1. ヒューマンエラーによるセキュリティインシデントの実態.


ヒューマンエラーによるセキュリティインシデントの実態について、具体的な事例を交えて解説します。

1-1. セキュリティインシデントの原因分析

複数の調査報告書によると、セキュリティインシデントの原因の約30%がヒューマンエラーによるものとされています。

 ・不注意による情報漏洩

 ・フィッシング攻撃の被害

 ・不適切なアクセス権限設定

 ・その他のヒューマンエラー

1-2. SES業界特有のリスク

SES業界では、クライアント企業の機密情報を扱うことが多いため、ヒューマンエラーによるセキュリティリスクが特に高いと言えます。

以下のような状況がリスクを高めています。

 ・複数のクライアント企業のシステムにアクセスする必要性

 ・頻繁な業務環境の変更(常駐先の変更など)

 ・プロジェクトごとに異なるセキュリティポリシー

1-3. 具体的な事例

以下に、SES業界で頻繁に発生しているヒューマンエラーによるセキュリティインシデントの事例を紹介します。

どれも少しの気の緩みから発生した重大なセキュリティ事故になっています。

事例1.メール誤送信による情報漏洩

A社のエンジニアが、クライアント企業の機密情報を含む開発資料を、誤って別のクライアント企業に送信してしまった。

結果、守秘義務違反として多額の損害賠償を請求された。

事例2.不適切なアクセス権限設定

B社のプロジェクトマネージャーが、開発中のシステムのアクセス権限を適切に設定せず、一般ユーザーが管理者権限でアクセスできる状態になっていた。

この脆弱性を悪用され、個人情報が流出した。

事例3.フィッシング攻撃の被害

C社のエンジニアが、クライアント企業を装ったフィッシングメールに騙され、認証情報を入力してしまった。

その結果、クライアント企業のシステムに不正アクセスされ、重要なデータが改ざんされた。

2. ヒューマンエラーを防ぐためのセキュリティ対策.


ヒューマンエラーによるセキュリティインシデントを防ぐためには、技術的対策と人的対策の両面からアプローチする必要があります。

以下に、SES企業が実施すべき具体的な対策を紹介します。

2-1. 技術的対策

1. 多要素認証の導入

パスワードだけでなく、スマートフォンのアプリや生体認証など、複数の要素を組み合わせた認証方式を導入することで、不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。

2. データ暗号化の徹底

重要なデータは必ず暗号化し、万が一情報漏洩が発生しても、第三者が内容を解読できないようにします。

特に、モバイルデバイスやクラウドストレージ上のデータの暗号化は重要です。

3. アクセス制御の強化

必要最小限の権限のみを付与する「最小権限の原則」に基づき、厳格なアクセス制御を実施します。

また、定期的に権限の棚卸しを行い、不要な権限を削除することも重要です。

4. エンドポイントセキュリティの強化

ウイルス対策ソフトやEDR(Endpoint Detection and Response)ツールを導入し、エンドポイントでの脅威検知と対応を強化します。

5. メール誤送信防止ツールの導入

メールの送信前に宛先や添付ファイルをチェックする機能を持つツールを導入し、誤送信のリスクを低減します。

2-2. 人的対策

1. セキュリティ教育・訓練の実施

全従業員を対象に、定期的なセキュリティ教育・訓練を実施します。

具体的には以下のような内容を含めることが重要です。

 ・最新のサイバー攻撃手法とその対策

 ・社内セキュリティポリシーの理解

 ・インシデント発生時の対応手順

 ・フィッシング攻撃の識別方法

 ・ソーシャルエンジニアリングへの対処法

2. セキュリティ意識の向上キャンペーン

ポスターやニュースレター、社内SNSなどを活用し、日常的にセキュリティ意識を高める取り組みを行います。

具体的な事例や最新のセキュリティ脅威に関する情報を共有することで、従業員の関心を喚起します。

3. インシデント対応訓練の実施

セキュリティインシデントが発生した際の対応をシミュレーションする訓練を定期的に実施します。

これにより、実際のインシデント発生時に迅速かつ適切な対応ができるようになります。

3. セキュリティインシデント発生時の対応.



万が一セキュリティインシデントが発生した場合、迅速かつ適切な対応が求められます。

以下に、SES企業が準備しておくべき対応手順を示しますので参考としてください。

1.インシデント対応チームの編成

セキュリティ専門家、法務担当者、広報担当者などで構成されるインシデント対応チームを事前に編成し、役割と責任を明確にしておきます。

2.初動対応のマニュアル確立

インシデント検知後の初動対応マニュアルを確率し、全従業員に周知しておきます。
主な手順は以下の通りです。

 1.インシデントの検知と報告

 2.影響範囲の特定

 3.証拠の保全

 4.被害の最小化(感染端末の隔離など)

 5.関係者への通知(経営陣、クライアント企業など)

3.フォレンジック調査の実施

インシデントの原因究明と再発防止策の策定のため、専門家によるフォレンジック調査を実施します。

4.復旧計画の策定と実行

影響を受けたシステムやデータの復旧計画を策定し、速やかに実行します。

5.再発防止策の実施

調査結果に基づき、技術的・人的両面から再発防止策を策定し、確実に実施します。

6.インシデント報告書の作成
インシデントの詳細、対応状況、再発防止策などをまとめた報告書を作成し、関係者に共有します。

4. まとめ.


SES業界におけるヒューマンエラーによるセキュリティリスクは、決して軽視できない問題です。

技術的対策と人的対策の両面から総合的なアプローチを取ることで、リスクを大幅に低減することができます。


本記事で紹介した対策を参考に、自社のセキュリティ態勢を見直し、継続的に改善していくことが重要です。

セキュリティ対策は、コストではなく投資と捉え、積極的に取り組むことが求められます。


セキュリティ対策の成功の鍵は、経営層のコミットメントと従業員一人ひとりの意識にあります。

新たな脅威が次々と現れる中、常に警戒を怠らず、柔軟に対応していく姿勢が求められます。

全社一丸となってセキュリティ文化を醸成し、安全で信頼される SES 企業を目指しましょう。