
SES営業のキャリアパスとは?後悔しないための選び方とポイント
SES営業は、ITソリューションやシステム開発の提案と契約獲得を担当する重要な役割です。そのため、営業スキルだけでなく、技術的な知識を兼ね備えた人材が求められます。
変化の激しいIT業界で、「SES営業としてどのようにキャリアを築いていけばよいのか」、「このまま続けていけるだろうか」と、自身のキャリアについて悩んでいるSES営業の方も多いのではないでしょうか。
本記事は、そんなSES営業の方々に向けてキャリアパスについて詳しく解説するとともに、後悔しないための選び方やポイントをご紹介します。
1. SES営業の一般的なキャリアパス.
SES営業のキャリアパスは、経験や実績に応じて段階的に昇進していくのが一般的です。
新人からベテランまで、各ステージで求められるスキルと役割について見ていきましょう。
1-1. STEP1:新人営業
1.基本的な営業スキルや業界知識の習得
入社後1〜2年は、OJTを中心に基本的な営業スキルを学びます。
IT業界の基礎知識、SESビジネスの仕組み、社内システムの使い方なども習得します。
2.先輩営業のサポート役として経験を積む
先輩営業に同行し、商談の進め方や顧客対応のコツを学びます。
また、社内での営業資料作成や顧客情報の管理などのサポート業務も担当します。
3.小規模案件や既存顧客の対応を担当
徐々に自身で担当する案件を持ち始めます。
主に既存顧客の小規模案件や、比較的取引のしやすい顧客を担当することが多いです。
1-2. STEP2:中堅営業
1.独立して案件を担当
入社後3〜5年程度で、独立して案件を担当するようになります。
顧客との信頼関係構築や、複雑な要求への対応など、より高度な営業スキルが求められます。
2.新規顧客の開拓にも取り組む
既存顧客だけでなく、新規顧客の開拓にも積極的に取り組みます。
業界セミナーや展示会への参加、ネットワーキングイベントでの人脈づくりなども行います。
3.チーム内でのリーダーシップを発揮
後輩営業のメンターとして指導的な役割を担うこともあります。
チーム全体の成果向上に貢献することが期待されます。
1-3. STEP3: シニア営業
1.大型案件や重要顧客を担当
入社後6〜10年程度で、会社の売上に大きく貢献する大型案件や、戦略的に重要な顧客を担当するようになります。
高度な交渉力や戦略的思考が必要とされます。
2.若手営業の育成や指導を行う
チーム内でのリーダーシップがさらに求められ、若手営業の育成や指導を積極的に行います。
自身の経験を活かした実践的なアドバイスが期待されます。
3.営業戦略の立案にも携わる
部門全体の営業戦略立案に参画することもあります。
市場動向の分析や競合他社の調査なども行い、中長期的な視点での戦略提案が求められます。
1-4. STEP4:マネージャー
1.営業チームの統括
10年以上の経験を積み、営業部門のマネージャーとして、チーム全体の統括を行います。
人員配置や予算管理、業績評価などのマネジメント業務が中心となります。
2.部門全体の目標設定や戦略立案
部門全体の売上目標設定や、それを達成するための具体的な戦略立案を行います。
市場環境の変化に応じた柔軟な戦略の見直しも必要です。
3.経営陣との橋渡し役を担う
現場の状況や課題を経営陣に的確に伝え、経営方針を現場に落とし込む橋渡し役としての役割も担います。
1-5. STEP5:事業部長・役員
1.会社全体の営業戦略を統括
経営幹部として、会社全体の営業戦略の策定と実行を統括します。
長期的な視点での市場分析や事業計画の立案が求められます。
2.新規事業の立ち上げや M&A などの意思決定に関与
会社の成長戦略に深く関与し、新規事業の立ち上げやM&Aなどの重要な意思決定に参画します。
3.経営者としての視点で会社の方向性を決定
財務、人事、技術開発など、会社全体を俯瞰した視点での経営判断が求められます。
2. SES営業のキャリアパスと選び方.
SES営業は、IT人材のマッチングを主軸としながらも、多彩なキャリア展開が可能な職種です。
コンサルタントとしてのキャリアアップ、ソフトウェアの販売、人材の育成など、特定分野に特化した知識や経験を積むことで、より広い選択肢が開かれます。
各キャリアパスには、それぞれに適したタイプや必要な経験、具体的な仕事内容が存在します。
例えば、技術に強い人はプリセールスエンジニアへ、コミュニケーション能力に優れた人は人材育成スペシャリストへと進むことができます。
これらの専門分野は、SES営業としての経験を基盤としつつ、個人の興味や適性、さらには刻々と変化する市場ニーズに応じて選択することが可能です。
自己分析と市場分析を重ね、自身の強みを活かせる分野を見極めることが重要です。
選択したキャリアパスにおいて、さらなる専門性を磨くことで、IT業界での価値を高め、長期的なキャリア成功につながります。
2-1. 特定の業界や技術分野に特化したエキスパート
特定の業界や技術分野に特化したエキスパートとしてのキャリアパスは、深い専門知識と経験を持つ人材に適しています。
例えば、金融業界向けのSES営業では、金融商品や規制に精通し、業界特有の課題を理解している人が向いています。
また、AI・機械学習分野に特化した営業では、最新の技術トレンドに常に関心を持ち、技術的な会話ができる人材が求められます。
具体的な仕事内容としては、専門分野における顧客ニーズの的確な把握、高度な技術要件の理解と提案、業界特有の規制やコンプライアンスへの対応などが挙げられます。
2-2. 海外展開を担当するグローバル人材
グローバル展開を進める企業では、海外拠点との連携や、海外顧客向けのSES営業を専門に担当する道もあります。
特に日本のIT人材は慢性的に不足しており、オフショア開発など海外エンジニアのリソースを頼ることは既に多くのSI企業では当たり前になっています。
海外経験や国際的な環境での就業経験がある人、異文化理解力を持つ人、ビジネスコミュニケーションに長けた人が向いています。
具体的な仕事内容には、海外顧客との商談や契約交渉、海外拠点とのプロジェクト調整、グローバルな人材リソースの管理、国際的な法規制への対応などが含まれます。
2-3. 営業支援ツールの導入や業務改善を推進するプリセールス
CRMシステムの導入や、AI を活用した営業支援ツールの開発など、営業プロセスのデジタル化や効率化を推進するプリセールスの専門家としての道もあります。
営業支援ツールの導入や業務改善を推進する役割は、テクノロジーに精通し、業務プロセスの分析と改善に関心がある人材に適しています。
デジタルツールやAIに関する知識を持ち、データ分析やプロジェクト管理のスキルを有する人が向いています。
具体的な仕事内容としては、CRMシステムの選定と導入、AIを活用した営業支援ツールの開発と実装、データ分析による営業戦略の立案、業務プロセスの効率化提案などが挙げられます。
2-4. 人材育成のスペシャリスト
社内トレーナーや営業研修の講師として、後進の育成に特化したキャリアを選択することも可能です。
人材育成のスペシャリストとしてのキャリアパスは、豊富な営業経験と優れたコミュニケーション能力を持つ人材に適しています。
特に教育や指導に情熱を持ち、知識やスキルを効果的に伝える能力がある人が向いています。
具体的な仕事内容は、新人営業研修プログラムの企画と実施、ロールプレイングなどの実践的な指導、営業スキル向上のための個別コーチング、社内の営業ナレッジの体系化と共有などが含まれます。
2-5. マーケティングセールススペシャリスト
SES営業からマーケティングセールススペシャリストへのキャリアパスは、従来の営業スキルにデジタルマーケティングの専門性を加えた役割です。
このポジションでは、データ分析力と戦略立案能力を活かし、デジタルツールやソーシャルメディアを駆使して効果的な顧客獲得を行います。
主な業務には、ターゲット顧客分析、コンテンツマーケティング戦略の立案・実施、ソーシャルメディアを通じた見込み客開拓、マーケティングオートメーションの活用などが含まれます。
また、ウェビナーの企画運営やデジタル広告キャンペーンの管理も担当します。
このキャリアパスは、SES業界の知識とデジタルマーケティングスキルを融合させ、より戦略的なアプローチで顧客獲得を目指す人材に適しています。
マーケティングと営業部門の橋渡し役として、組織全体の営業効率向上にも貢献します。
将来的には、マーケティングマネージャーやCMOといった上位職へのステップアップも可能です。
3. さいごに.
SES営業は、IT業界で重要な役割を担う職種であり、適性のある人材に大きな成長機会を提供します。
キャリアパスの選択には、徹底的な自己分析と業界動向・企業特性の理解が不可欠です。
継続的なスキルアップと柔軟な姿勢を維持することで、どの道を選んでも成功の可能性が高まります。
キャリア選択に唯一の正解はありません。
自分自身と向き合い、周囲のサポートを得ながら、自分らしいキャリアを築くことが最も重要です。
IT業界の急速な変化に対応しつつ、個人の強みや興味を活かせるキャリアパスを見出すことが成功への鍵となります。
自己成長と業界貢献のバランスを取りながら、長期的な視点でキャリアを構築していくことで、SES営業の経験を最大限に活かし、IT業界でのさらなる飛躍が期待できます。
自信を持って前進し、常に新しい可能性を探求する姿勢を忘れずに、充実したキャリアを築いていってください。