
API連携とは?SES営業が提案に使えるシステム連携の種類を解説!
ビジネス環境のデジタル化が加速する中、多くの企業が抱える課題の一つがシステム間の連携です。
既存システムの刷新やDX推進において、「API連携」という言葉をよく耳にするようになりました。
SES営業としてクライアントの課題解決を提案する際、API連携の知識は強力な武器となります。
本記事では、API連携の基本から、SES営業が提案に活用できるシステム連携の種類まで詳しく解説します。
1. API連携とは.
APIとは「Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」の略で、異なるソフトウェア同士が連携するための仕組みです。例えるなら、APIは「コンセント」のようなもの。異なる電化製品(システム)を接続するための規格化されたインターフェースです。
API連携とは、このAPIを活用して異なるシステム同士をつなぎ、データやサービスをスムーズにやり取りできるようにする技術です。例えば、ECサイトと在庫管理システムを連携させることで、受注情報が自動的に在庫システムに反映され、在庫管理の効率化が図れます。
2. API連携の仕組み.

1. リクエストとレスポンス
API連携の基本は「リクエスト」と「レスポンス」です。システムAがシステムBに対して情報やアクションを要求(リクエスト)すると、システムBはその要求に応じた結果(レスポンス)を返します。例えば、ECサイトから在庫管理システムへ「商品IDが1001の在庫数を教えて」というリクエストを送ると、在庫管理システムは「在庫数は42個です」というレスポンスを返す、という流れです。
2. エンドポイントとメソッド
APIには「エンドポイント」と呼ばれる接続先のURLがあり、各エンドポイントには特定の機能が割り当てられています。例えば、https://api.example.com/productsというエンドポイントは商品情報に関連する機能を提供します。また、APIリクエストには「メソッド」と呼ばれる操作の種類があります。主なメソッドには以下のようなものがあります。
・GET:データの取得
・POST:新規データの作成
・PUT/PATCH:データの更新
・DELETE:データの削除
3. データフォーマット
API連携で交換されるデータは、一定のフォーマットに従って構造化されています。現在主流のフォーマットは以下となります。・JSON:軽量で可読性が高く、Webアプリケーションでよく使用される
・XML:より厳格なデータ構造を持ち、エンタープライズシステムで使用される
・CSV:シンプルなテキストベースのフォーマットで、大量データの受け渡しに適している
4. 認証と認可
APIの不正利用を防ぐため、多くのAPIは認証・認可の仕組みを備えています。・APIキー:識別用の文字列を使った簡易的な認証
・OAuth:ユーザーの代理としてAPIにアクセスするための標準的な認可プロトコル
・JWT(JSONウェブトークン):安全な情報のやり取りを実現する仕組み
5. API仕様書
API連携を行うために重要なのが「API仕様書」です。これはAPIの使い方を説明したドキュメントで、各エンドポイントの機能、必要なパラメータ、返されるデータの形式などが記載されています。現在は「Swagger」や「OpenAPI」などの標準規格で記述されることが多く、開発者間での共通理解を助けています。
3. なぜAPI連携が重要なのか.
1. REST API連携
RESTful API(REST API)は、現在最も普及しているAPI形式です。HTTPプロトコルを利用し、シンプルでスケーラブルなシステム連携を実現します。
特徴
・Web標準技術を使用しているため、導入障壁が低い
・JSONやXMLなどの軽量データフォーマットを使用
・ステートレス(状態を持たない)な設計で、システム負荷を分散しやすい
提案ポイント
・Webサービスとの連携が必要なクライアントに最適
・クラウドサービス活用を検討している企業への提案に有効
・スタートアップや中小企業でも導入しやすいコスト感
2. SOAP API連携
SOAPは主に企業内の重要システムや金融機関などのセキュリティが重視される環境で使われるプロトコルです。
特徴
・XMLベースで厳格な規約がある
・トランザクション保証やセキュリティ機能が充実
・WS-Securityなどの拡張仕様が標準化されている
提案ポイント
・金融機関や医療機関など、高いセキュリティと信頼性が求められる業界向け
・既存の基幹システムとの連携が必要な場合
・確実なデータ処理が求められるミッションクリティカルなシステム向け
3. GraphQL API連携
FacebookによってオープンソースとしてリリースされたGraphQLは、クライアントが必要なデータだけを効率的に取得できるAPI技術です。
特徴
・必要なデータのみを一度のリクエストで取得可能
・フロントエンド開発の効率化
・強力な型システムによるエラー検出
提案ポイント
・モバイルアプリケーションやSPA(Single Page Application)開発企業向け
・データ構造が複雑で、柔軟なクエリが必要なシステム
・開発速度の向上とネットワーク効率化を同時に求めるプロジェクト
4. Webhookによる連携
Webhookは特定のイベントが発生した際にデータを自動的に送信する仕組みです。
特徴
・イベント駆動型のリアルタイム連携
・プッシュベースのデータ送信
・シンプルな実装方法
提案ポイント
・在庫管理や決済処理など、リアルタイム性が求められるシステム
・IoTデバイスとのデータ連携
・通知システムや監視システムの構築
5. データ連携プラットフォーム(iPaaS)
Integration Platform as a Service(iPaaS)は、様々なシステムやサービスを連携させるためのクラウドプラットフォームです。
特徴
・ローコード/ノーコードでAPI連携を実現
・豊富な既製コネクタによる素早い連携
・API管理機能の内蔵
提案ポイント
・IT人材が不足している企業向け
・短期間でのシステム連携が必要なプロジェクト
・複数のクラウドサービスを活用している企業
4. API連携提案時のポイント.

1. 顧客のビジネス課題を理解する
システム連携の技術面だけでなく、顧客のビジネス課題に焦点を当てましょう。例えば「受注処理に時間がかかりすぎている」という課題に対して、「ECサイトと在庫システムのAPI連携による自動化」を提案するなど、課題解決のストーリーを描きましょう。
2. セキュリティ対策を必ず言及する
API連携はデータのやり取りを伴うため、セキュリティリスクが付きまといます。API認証方式(OAuth, APIキーなど)やデータ暗号化など、セキュリティ対策も含めた提案をすることで、顧客の安心感を高められます。
3. 段階的な導入計画を示す
すべてのシステムを一度に連携するのではなく、優先度の高い業務から段階的に導入する計画を提示しましょう。小さな成功体験を積み重ねることで、顧客の信頼を獲得できます。
4. 保守運用の視点も含める
API連携の構築だけでなく、その後の監視・保守体制についても言及しましょう。APIの仕様変更や障害発生時の対応など、長期的な視点での提案が顧客の安心につながります。
5. まとめ.
API連携は、単なる技術的な話ではなく、ビジネス変革の重要な手段です。SES営業として、顧客の課題を深く理解し、最適なAPI連携ソリューションを提案することで、高付加価値なサービス提供が可能になります。
また、API連携の知識は、案件獲得だけでなく、エンジニアとクライアントの架け橋としての役割を果たす上でも大変重要です。技術トレンドをキャッチアップしながら、顧客視点での提案力を磨いていきましょう。