SES営業が狙うべきモダナイゼーション案件〜レガシー刷新の攻略法6選

SES営業が狙うべきモダナイゼーション案件〜レガシー刷新の攻略法6選

 発売日: 2025/10/31

企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に伴い、レガシーシステムのモダナイゼーション需要が急速に拡大しています。

特に、2025年の崖問題や保守サポート終了により、多くの企業が基幹システムの刷新を迫られており、SES企業にとって大きなビジネスチャンスとなっています。

1. モダナイゼーション市場の現状と成長機会.

経済産業省が2018年に発表したDXレポートによると、2025年には導入から21年以上が経過したレガシーシステムを運用している企業が6割に達すると予測されており、対策が講じられない場合、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性が指摘されています。

また、モダナイゼーション案件では、単純なシステム移行だけでなく、業務プロセスの見直し、新技術の導入、運用体制の構築など、包括的なコンサルティングサービスが求められることが多く、SES企業が高付加価値サービスを提供する絶好の機会となっています。

一方で、モダナイゼーション案件の獲得には、技術的な専門性、豊富な実績、リスク管理能力などが要求され、従来のSES営業手法では対応が困難なケースも多く見られます。そのため、戦略的なアプローチと十分な準備が成功の鍵となります。

2. モダナイゼーション案件攻略法6選.


2-1. 1.業界特化型アプローチによる専門性の確立

モダナイゼーション案件では、単純な技術力だけでなく、顧客業界の業務理解と課題認識が重要な差別化要因となります。製造業、金融業、流通業、医療業界など、特定業界に特化したアプローチにより、深い業界知識と豊富な実績を蓄積することで、競合他社との明確な差別化を図ることができます。

業界特化戦略の実践方法として、まず対象業界の選定が重要です。自社の過去実績、技術者のスキル、市場規模、競合状況などを総合的に評価し、最も優位性を発揮できる業界を特定します。その後、業界団体への参加、専門誌への寄稿、業界向けセミナーの開催などを通じて、業界内での認知度向上を図ります。

例えば、製造業に特化する場合、生産管理システム、品質管理システム、IoT活用によるスマートファクトリー化など、製造業特有のモダナイゼーション課題に対する深い理解と豊富な解決実績を蓄積します。また、製造業の法規制、品質基準、業界慣行なども詳細に把握し、顧客との対話において専門性の高い提案ができる体制を構築しましょう。

2-2. 2.レガシーシステム分析・診断サービスの先行提供

モダナイゼーション案件の受注において、本格的なシステム刷新プロジェクト開始前に、レガシーシステムの現状分析・診断サービスを提供することは極めて効果的なアプローチです。この段階で顧客との信頼関係を構築し、後続の大型案件受注につなげることができます。

診断サービスでは、現行システムの技術的負債の評価、パフォーマンス分析、セキュリティリスク評価、保守性の評価などを体系的に実施します。また、現在のシステムがビジネス要件をどの程度満たしているか、将来的な拡張性はどうかなど、ビジネス観点からの評価も重要です。

診断結果に基づいて、モダナイゼーションの優先順位、推奨アプローチ、概算コスト、期待効果などを含む包括的な提案書を作成し、顧客の意思決定を支援します。この段階で高品質な分析と的確な提案を提供することで、顧客からの信頼を獲得し、後続プロジェクトの受注確度を大幅に向上させることができるでしょう。

2-3. 3.段階的移行戦略によるリスク軽減提案

レガシーシステムのモダナイゼーションにおいて、顧客が最も懸念するのはプロジェクトリスクです。特に、基幹システムの刷新では、ビジネス継続性への影響、予算超過、スケジュール遅延などのリスクが常に付きまといます。これらの懸念を解消するために、段階的移行戦略の提案が効果的です。

段階的移行戦略では、システム全体を一度に刷新するのではなく、機能単位、部門単位、地域単位などで段階的に移行を進めます。この手法により、各段階でリスクを最小化し、問題が発生した場合の影響範囲を限定することができます。

具体的なアプローチとして、最初に影響範囲の小さい周辺システムから移行を開始し、段階的に中核システムへと移行範囲を拡大していきます。各段階では、移行前後でのシステム動作検証、パフォーマンステスト、ユーザー受け入れテストなどを徹底的に実施し、次の段階に進む前に確実に品質を確保します。

2-4. 4.クラウドファースト戦略と新技術活用の積極提案

現代のモダナイゼーション案件では、単純なシステム移行だけでなく、クラウド化、マイクロサービス化、コンテナ化など、最新のアーキテクチャ採用が求められることが多くなっています。これらの新技術を積極的に提案し、顧客の将来的な競争優位性確保に貢献することで、高付加価値案件の受注が可能になります。

クラウドファースト戦略では、オンプレミスシステムからクラウドサービスへの移行により実現できるコスト削減、スケーラビリティ向上、運用負荷軽減などのメリットを具体的に提示します。AWS、Azure、Google Cloudなどの主要クラウドプラットフォームの特徴を理解し、顧客の要件に最適なクラウド戦略を提案します。

また、AI・機械学習、IoT、ブロックチェーンなどの先進技術を既存システムに組み込むことで、単なるシステム刷新を超えた業務変革の実現を提案します。例えば、ERPシステムのモダナイゼーションにおいて、AIによる需要予測機能、IoTによるリアルタイム在庫管理、ブロックチェーンによるサプライチェーン透明性向上などを組み合わせることで、顧客のビジネス価値を大幅に向上させることができます。

2-5. 5.既存システム保全と新システム開発の並行実行体制

モダナイゼーション案件の特徴として、新システム開発と並行して既存システムの安定運用を継続する必要があることが挙げられます。この複雑な要件に対応するため、既存システム保全チームと新システム開発チームの両方を提供できる体制を構築することで、競合他社との差別化を図ることができます。

既存システム保全においては、現行システムの安定稼働、緊急障害対応、小規模な機能改修、セキュリティパッチ適用などを担当します。一方、新システム開発チームは、要件定義、設計、開発、テストなどの新システム構築を担当します。両チームの密接な連携により、移行時のデータ整合性確保、業務継続性の維持、トラブル時の迅速対応などを実現します。

この並行実行体制の提案においては、プロジェクト管理の複雑さ、コミュニケーションの重要性、品質管理の厳格性などを十分に説明し、自社の体制とノウハウがこれらの課題に対応できることを明確に示すことが重要です。

2-6. 6.運用・保守フェーズまで含む長期パートナーシップ提案

モダナイゼーション案件では、システム構築完了後の運用・保守フェーズも含めた長期的なパートナーシップ提案により、総受注金額の拡大と継続的な関係構築を実現できます。新システムの運用・保守は、構築に携わった企業が最も適任であり、顧客にとってもワンストップでのサービス提供を受けられるメリットがあります。

運用・保守サービスの提案では、24時間365日の監視体制、SLA(サービス品質保証)の設定、定期的なシステム最適化、セキュリティ更新、機能拡張対応などを包括的に提供します。また、継続的な改善提案、新技術導入支援、ユーザー教育なども含めることで、単なる保守サービスを超えた戦略パートナーとしてのポジションを確立します。

長期パートナーシップの提案においては、初期構築コストと運用コストを含めたTCO(総保有コスト)での比較、段階的な機能拡張ロードマップ、将来的な技術進歩への対応計画などを示し、長期的な視点での価値を明確にします。

3. まとめ.

モダナイゼーション市場は、SES企業にとって大きな成長機会である一方で、高度な専門性と戦略的アプローチが要求される競争の激しい分野でもあります。

今回紹介した6つの攻略法を体系的に実践し、業界特化、段階的アプローチ、新技術活用、長期パートナーシップなどの差別化要因を確立することで、持続的な競争優位性を構築することができます。

重要なのは、単発的な案件受注を目的とするのではなく、顧客の長期的なデジタル変革パートナーとしてのポジション確立を目指すことです。モダナイゼーションを通じて顧客のビジネス価値向上に貢献し、継続的な信頼関係を構築することで、SES企業は新たな成長ステージへと進むことができるでしょう。