企業の業務効率化を加速する!ハイパーオートメーション導入のメリットと成功事例7選

企業の業務効率化を加速する!ハイパーオートメーション導入のメリットと成功事例7選

 発売日: 2025/6/25

デジタル技術の進化とともに、SES企業の業務プロセスは大きく変化しています。特に、AIやRPA、機械学習などを活用し、従来の手作業を極限まで自動化する「ハイパーオートメーション」が注目されています。
ハイパーオートメーションとは、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)にAI(人工知能)、ML(機械学習)、プロセスマイニング、iPaaS(統合プラットフォーム)など、複数の先端技術を組み合わせて業務全体を効率化する手法です。

本記事では、SES企業におけるハイパーオートメーションのメリットや、実際に導入された企業の成功事例を7つご紹介します。

1. ハイパーオートメーションの導入メリット.


1.業務の大幅な効率化と生産性向上

ハイパーオートメーションを導入すると、単なる定型業務の自動化にとどまらず、AIや機械学習(ML)を活用してより高度な意思決定の支援も可能になります。

例えば、カスタマーサポートにおいては、従来のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)だけでは定型的な問い合わせ対応が中心でしたが、AIチャットボットを組み合わせることで、顧客の意図を理解し、適切な回答をリアルタイムで提供できます。

さらに、過去の対応履歴や顧客データを分析し、パーソナライズされた対応を自動で行うことも可能になります。これにより、従業員はより創造的な業務に集中できるようになります。

2.コスト削減

人件費の削減だけでなく、運用コスト全体の最適化にも貢献します。

例えば、バックオフィス業務(経理・人事・総務)にRPAを導入すると、毎月の給与計算や請求書処理、経費精算などの業務を自動化できます。これにより、従来は数時間から数日かかっていた作業が、数分で完了するようになります。

さらに、iPaaS(統合プラットフォーム)を活用すれば、異なるシステム間のデータ連携が容易になり、手作業によるデータ入力や転記の手間を削減できます。

たとえば、ERP(基幹業務システム)とCRM(顧客管理システム)を連携させることで、営業が顧客情報を手入力する必要がなくなり、業務の正確性と効率が向上します。

3.ヒューマンエラーの削減

手作業でのデータ入力や処理には、どうしてもヒューマンエラーがつきものです。ハイパーオートメーションを導入することで、こうしたミスを最小限に抑え、業務の精度を向上させることができます。

特に、財務・経理業務においては、請求書の発行、支払処理、決算処理など、多くの数値を扱う作業が発生します。

これらの業務にRPAを導入すれば、データの転記ミスや計算ミスを防ぐことができます。さらに、AIを活用した異常検知システムを組み合わせることで、不正な取引や異常な支出をリアルタイムで検出し、迅速な対応が可能になります。

4. 柔軟な業務対応とスピード向上

ハイパーオートメーションの導入により、企業は変化する市場環境に迅速に適応できるようになります。

例えば、Eコマース業界では、注文数の急増や在庫状況の変動に対応する必要があります。AIとRPAを活用すれば、リアルタイムで在庫データを分析し、需要予測を行うことで、適切な仕入れや配送計画を自動で調整できます。

また、金融業界では、AIが顧客の取引履歴や市場データをリアルタイムで分析し、最適な投資判断をサポートするシステムも登場しています。これにより、従来の人手による分析に比べ、より迅速かつ正確な意思決定が可能になります。

5. データ活用の高度化

プロセスマイニングやAI分析を活用することで、業務のボトルネックを特定し、継続的な改善が可能になります。

プロセスマイニングとは、業務プロセスをデータとして可視化し、どこに無駄があるのかを特定する技術です。例えば、企業のワークフローを分析し、「承認プロセスに時間がかかりすぎている」「特定のタスクがボトルネックになっている」といった問題点を明らかにすることができます。

このデータをもとに、AIが最適な業務フローを提案し、自動化できる部分を特定することで、業務改善を推進できます。例えば、経費精算の承認プロセスを最適化することで、従来1週間かかっていた承認作業を1日で完了させることが可能になります。

2. ハイパーオートメーションの成功事例7選.


以下に、有名な企業のハイパーオートメーション導入成功事例を7つご紹介します。

これらの事例は、ハイパーオートメーションの導入が業務効率化やコスト削減に大きく寄与することを示しています。

成功事例①|三菱UFJ銀行の業務自動化

三菱UFJ銀行は、住宅ローン申請の事前審査プロセスにAIを活用した自動化システムを導入しました。これにより、従来1日かかっていた審査時間を最短15分に短縮し、業務効率が大幅に向上しました。

成功事例②|トヨタ自動車の品質管理最適化
トヨタ自動車は、AIを活用した塗装の品質評価のシステムを導入し、色の製作から測定までの工程をデジタル化しました。

「塗装せずに品質を評価する」ことで、塗装プロセスの複雑さを無くし、短期間かつ質・量の向上を可能にしました。

成功事例③|NTTドコモのコールセンター自動応答システム

ドコモショップでは、年間約700万件の問い合わせ、約95万時間の電話対応に時間を要しています。多くのスタッフの稼働が圧迫され、電話が繋がらないといった不便をかけることがありました。

そこで、24時間自動音声で受付可能なAI電話サービスを導入したところ、入電数が4.8倍となり、予約完了率も54%達成、顧客満足度の向上を実現しました。

成功事例④|東京海上日動火災保険の契約手続き自動化
東京海上日動火災保険は、激甚化・頻発化する自然災害対応として保険金支払い手続きに関する、基本情報照合のプロセスをRPAで自動化しました。

その結果、1件当たり15分程度かかっていたものが、最大3分程度に効率化し、年間約5万時間程度が短縮できると見込まれています。

成功事例⑤|楽天の在庫管理と発注最適化

楽天は、AIを活用した需要予測と在庫管理の自動化を行い、過去の販売データとリアルタイムの市場動向を分析して最適な発注量を自動決定しています。その結果、補充率は通常時で16.1%向上。楽天スーパーセールの期間中は40%向上しました。

時期や商品によってボリュームが大幅に増減するにもかかわらず、予測数値の誤差は10%~20%、最大1ヶ月先の予測も可能ということです。

成功事例⑥|慶應義塾大学病院の電子カルテデータ入力自動化

慶應義塾大学病院は、IT・AIを活用して単純作業を削減し、医療従事者の負担を軽減しています。デジタル問診や音声入力カルテ、遠隔診療を導入し、業務効率を向上させています。

さらには、病床管理システムやロボットを活用し、患者の移動や薬剤管理を自動化。特に、車いす型自動運転サービス「WHILL」は好評で、病院のIT/AI活用の新たなモデルを示しています。

成功事例⑦|ヤマト運輸の配送ルート最適化

アルフレッサとヤマト運輸は、ヘルスケア商品の共同配送スキーム構築の一環として、ビッグデータ・AIを活用した配送業務量予測システムと適正配車システムを導入しました。AIで需要を予測し、最適な配車計画を作成することで、配送効率の向上、CO2排出量削減、医療機関の対面作業時間短縮を実現しています。

3. まとめ.

ハイパーオートメーションは、単なる効率化ツールではなく、企業の競争力を高め、持続可能な成長を実現するための重要な戦略となっています。成功のカギは、顧客の課題を明確に把握し、適切な技術を選択して段階的に導入を進めることにあります。

SESエンジニアやSES営業は、これらの成功事例を参考にしながら、顧客の状況に合わせた最適な導入計画を策定することが重要です。また、現場との理解と協力を得ながら、全社的な取り組みとして推進していくことが、成功への近道となるでしょう。